抗菌薬/抗生物質
まず、抗菌薬と抗生物質の言葉ですが
抗菌薬の方が広い概念になります。
ニキビ治療を行っている皮膚科の
ホームページを見ると
抗菌薬と記載しているところと
抗生物質と記載しているところに
分かれています。
ニキビ治療ガイドラインでは
抗菌薬という表現に統一されていますが
世間一般的には、抗生物質の表現の方が
慣れていると思います。
どちらの言葉になっていても
同じようなものなので
あまり気にしなくてよい問題です。
抗菌薬/抗生物質には
外用と内服があるので
分けて説明します。
はじめに
現在は、ディフェリンが
保険適応となったことで
ニキビ治療への取り組みが
見直されてきましたが
それ以前は、抗菌薬の外用・内服が
保険診療のメインだったわけで
それで、良い結果を出せなかったわけです。
ニキビ原因へのアプローチもなしに
対症療法にすぎない
抗菌薬の外用・内服をさせれば
長期的な状況は悪化するだけです。
予防の目安がないなら
使わない方がよいということです。
抗菌薬外用の位置づけ
抗菌薬外用は対症療法になります。
保険診療可能です。(注1)
ニキビ治療には
出来てるニキビを治癒する面と
新たなニキビ発生を予防する面の
2面性がありますが
抗菌薬外用は
ニキビ治癒の面で利用されます。
炎症が起きている時に有効。
抗菌薬外用のニキビ治療ガイドライン評価
ニキビ治療ガイドラインでは
面皰と炎症性皮疹とを分けています。
面皰では、推奨度C2
炎症性皮疹では、推奨度A
(CQ9~10)
ようするに、炎症が出てるなら
抗菌薬外用を推奨するということ。
対象は、保険適応となっている
クリンダマイシン(ダラシン)
ナジフロキサシン(アクアチム)
抗菌薬外用の使用注意点
まず、皮膚に塗る薬なので
スキンケア用品との関係や
他の治療薬(ディフェリン等)との
関係に注意する必要があります。
ニキビ治療全般にいえることですが
肌が乾燥しやすくなることが多いので
保湿維持を目指します。
次に、合う合わないの問題。
抗菌薬は相性がありますが
保険適応可能な抗菌薬外用は
現在、限られているので
試すこと自体は、
それほど大変ではありません。
あとは、耐性の問題。
アクアチムに関しては
耐性が獲得されにくいと言われていますが
どちらにしても長く使うものとは
考えない方がいいですよ。
抗菌薬内服の位置づけ
抗菌薬内服は対症療法になります。
外用と同じく、今出来ている
炎症ニキビに有効となります。
予防には使ってはいけません。
抗菌薬内服のニキビ治療ガイドライン評価
ニキビ治療ガイドラインでは
推奨度は、製品により違っていて
A~C1となっています。
(CQ11)
13種類の成分について
評価されています。
(薬品名ではない)
ちなみに、推奨度Aは
ミノサイクリン(ミノマイシンなど)
ドキシサイクリン(ビブラマイシンなど)
抗菌薬内服の注意点:相性
抗菌薬は、合う合わないがあります。
(効果の相性や副作用の強さ)
自分と相性の良い抗菌薬内服を
見つけることが大切となります。
抗菌薬内服の注意点:耐性
耐性が付くと、効かなくなるわけだから
耐性がつかないように注意します。
抗菌薬内服の注意点:積極的か
抗菌薬内服については
その処方にどれだけ積極的かが
医師の間でも差が生じている部分です。
例えば、身近な例を挙げると
風邪をひいて病院に行くと
抗生物質を出しておきますと
言われることが多いと思いますが
処方に消極的な医師もいます。
ニキビ治療においても同じで
ここぞという時にだけ処方する
医師もいます。
美容皮膚科ナビでは
ニキビ治癒、ニキビ予防、ニキビ原因対策の
ニキビ治療計画が示せることを前提に
必要最小限度で利用していくべきと
考えています。
適当な処方になると
無駄なだけでなく
マイナス面が大きくなりますから。
出来ているニキビを治癒させても
次々と新しいニキビが発生してくる特徴を
忘れてはいけません。
抗菌薬内服の注意点:その他
抗生物質の腸内環境への
影響を指摘する医師もいます。
腸内バランスについては
今後、医療全体でも
注目が集まる分野だと思っています。
また、心臓への負担を
指摘する医師もいます。
最近、抗菌薬内服の問題点を指摘する
書籍などが増えていますよね。
その他
抗菌作用のあるものとして
現在、自由診療薬ですが
「過酸化ベンゾイル」が注目されています。
詳しくは、
過酸化ベンゾイルによるニキビ治療へ
【情報追加】
2015年に過酸化ベンゾイルの
ニキビ治療薬が2つ保険適応と
なりました。
(注1)抗菌薬の保険適応
厚労省に認められている抗菌薬が
保険診療可能ということです。
抗菌薬自体は他にもたくさんあります。
また、自由診療中心のクリニックでは
保険適応可能な抗菌薬でも
自由診療として処方することがあります。
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